只今、「詩とメルヘン絵本館15周年特別企画」生誕100周年記念 『中原淳一展』が香美市立やなせたかし記念館 詩とメルヘン絵本館&別館で行われています。
場所:高知県香美市香北町美良布アンパンマンミュージアム
期間:4月10日(水)~5月20日(月)
とき:9:30~17:00(最終入館16:30)火曜日休館(ただし4月29~5月5日は無休)
入館料:大人¥400 中高生¥200 小学生¥100
中国・四国地方では初の展覧会との事で・・・。
「待ってました!!!」と言わんばかりに意気込んで行って来ましたき~☆。
最近でこそ、中原さんの芸術的評価は見直され来つつある。
終戦直後の日本で、人々のささくれだった心に夢と希望を与えたい、そんな思いで『それいゆ』を創刊(雑誌自体が芸術作品。挿絵の一つ一つを取っても、ため息が出るほど美しい)。
中原さんの言葉・・・「お洒落な人とは美しくありたいと思う心が強い。お金がかけられなくても、上手に美しい効果を見せられる人は天才」。
たとえ六畳一間のアパートに住んでいようとも、お金をかけず手間をかけ楽しく美しく生きていくための智慧とスタイル。
また原稿依頼、イラストレーター、服のデザインにヘアメイクすべてを手がけたこの雑誌は、飢えた人々の心に潤いとツヤを与え、爆発的人気になった。
現在活躍するアーティストと呼ばれる人たちも中原さんに影響を受けた人は多い。
「もしもこの世に『色』がなかったら、人々の人生観まで変わっていたかもしれない」と言うように彼の色彩感覚は素晴らしく・・・(おそらく戦後、荒れた日本で暴動が起きなかったのは、汚染されていない空や山川、美しくロマンティックな詩とメロディの流行歌に戦前からの言葉づかい、そして中原さんが美しいロマンを提供してくれたからと言っても過言ではない)。
中原さんの作品を通して感じた事・・・。
常日頃あらゆる美術工芸に接し、美しい音楽を聴き、演劇や舞踏にふれ、いい本を読んで人としての基礎をしっかりしていく事が如何に大事か・・・。
またそういう中で自然とセンスも養われ・・・(きっと、そういう人が新しいものを身につける事により初めて華やぎというものは出て来るのだろうと思った。)
だから反対に基礎も出来てないのに新しいもの、きらびやかなもので幾ら飾り立ててもそれは虚しく見えるだけ・・・・(猫に小判・豚に真珠)。
母は生前、ただいたずらにブランド品を身につけ一流を気取った気になっている人を見て「何故?他人の褌で相撲を取るのか!?」的な事を言いよったけんど・・・。
勿論、ブランド品の中には素晴らしいものもある。でも、それがブランドというだけで漁り、群がるのは・・・(その姿は悲惨)。またブランドタグをありがたがる人もおるけんど・・・あれは例えば長谷川とか、西村というのと同じように、所詮他人の名前に過ぎず・・・普通に考えても他人の氏名のついたものを持って歩いているのは変やと思うし何しろ怪しい。
本物の人間でお洒落な人は、自分自身がブランド物。他人のブランド名を利用し、しがみ付く必要がない。寧ろ、他人の看板は邪魔。
しかし、それにはこれにふさわしい中身と実績が要求されることも忘れたらイカンね。
美意識とは決して贅沢なものでも、生きていく上での余剰のものでもない。これこそが世界を活性化させ、社会を変えていく上で、空気や水のように必要不可欠な原動力になっていくもの。
近頃は、その美の力を無視して、目先の利益と機能性と便利性と経済効果という、数字ばかり追い求めているから、みんな不安になってイライラしてしまう。そして、劣悪な環境を作り、知らず知らずのうち精神までも病んでしまう。
美しく演出するには手間暇をいとわない心が大切・・・(めんどくさがって便利性ばかりを追わず、手間暇かけ苦労して「自分」という作品を完全に近づけさせていくのは、実に楽しい作業だと思う)。
中原淳一展は「美」がこの世を活性化するという事を再認識させてもらった。
帰り際・・・『先生!』っと呼ぶ声に振り向くと去年、卒業した教え子らに遭遇。。。そこで少し立ち話もしたけど・・・。
別れて後しばらくして・・・実はあの子の方が今の大人よりも、ずっとそういうのを敏感に感じ取っちゅうがじゃないろうか!?って思いながら。
本物の美意識に時代や時間は関係ない、そんなことを思いながらの帰り道(ありがとう中原さん)。。。
美しさ
美しいということは持って生まれてきた徳ですから、
それは大切にしなければならないが、
美しいから愛されると思っていたらそれは間違いです。
美しい人が美しい心を持てば
これはすばらしいことだけれども、
美しさに甘えていたのでは
決して愛される人にはなれない。
美しくなくっても、美しい心になることによって
人は何時の間にか、その人の美しさを発見します。
人は瞬間だけを見ているのではありません。
『ひまわり』昭和23年11月号より