智積院(ちしゃくいん)

Posted on 2013年 7月 04日(木)

先週の頭ぐらいから、お中元のCMで(ビールのコマーシャル)京都の真言宗智山派・総本山智積院収蔵:『松に秋草図』(国宝)が流れゆうねえ。

3月に京都の東山へ知人の墓参りを済ました後、この智積院に寄って・・・(寺紋は桔梗紋)。

『大書院障壁画』25面

『紙本金地著色松に草花図』二曲屏風一隻

『金剛経』

なども国宝に指定。

中でも国宝障壁画は桃山時代に全盛期であった狩野派に対抗し、独自の画風を確立した長谷川等伯。その一派によって描かれた祥雲禅寺の障壁画のうち、智積院に現存する絵は楓図、桜図、松に秋草図、松に黄蜀葵図、松に梅図、雪松図、松に立葵図等。

このうち特に桜図と楓図は、日本の障壁画を代表するものとして世に知られている。

「桜図」 金箔をふんだんに使った絢爛豪華な色彩を背景に、力強い桜の大木を描き、そして絵の具を盛り上げる手法を用い、桜の花びら一枚一枚を大胆に表現している。まさに花びらの中から、長谷川等伯の子・久蔵の若さ溢れる情熱が眼前に迫ってくるかのよう。これは久蔵が25歳の時の作といわれている。が、残念なことに久蔵はこの翌年亡くなってしまう。

「楓図」 久蔵が26歳の若さで急逝した翌年、父等伯は突然の息子との離別を悲しみ、創作意欲を失いかけたが、息子の分まで精進しようと自分を鼓舞し、楓図を描き上げる。桜図と同様な豪華さで楓の古木が枝をいっぱいに広げ、その下には様々な草木が見事に配されている。

息子の死という悲痛な思いを乗り越えた力強さと、落ち着いた秋の雅を感じる等伯55歳の作。

全体的な特徴として、現代の手法では考えられないほど、金箔が惜しみもなく使われている。

このように極彩色豊かな描写からは、絢爛豪華な桃山文化の息吹が感じられる。

このうち「楓図」と「松に黄蜀葵図」については等伯、「桜図」については久蔵の筆であることはほぼ承認されているが、「松に秋草図」「松に梅図」の筆者が誰であるかについては諸説あって、今現在も詳細については不明との事。「松に秋草図」は「楓図」と「桜図」のほぼ中間の画風を示すことから、等伯説、久蔵説、等伯・久蔵合作説、あるいは等伯の優れた弟子説ら諸説入り乱れている状態。とは言え現在の智積院障壁画が桃山期を代表する金碧大画面であることには違いない。

世界の芸術家が認める日本の文化。

洗練された美意識は、日本特有のもの。

小さいもの、弱いもの、いたいけなもの、純粋なもの、無垢なもの、可愛らしいもの。

こうしたものを愛でる感性は、私たち日本人の財産です。